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累計300万部の大ヒット漫画を生み出した敏腕編集者・田邊が語る、それでも新しいことに挑戦し続けるワケ

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田邊亮(たなべ・りょう)
アニメの製作進行を経て、編集プロダクションのスタジオDNAに入社。
後に一塞舎と合併し、株式会社一迅社となり、月刊漫画誌「ComicREX」の創刊から編集を手掛け、2代目編集長となる。各編集部の垣根を越えて作品を担当。(コミックZERO–SUM、コミック百合姫、まんがパレット(旧称:まんが4コマKINGSパレット)、Febriなど)
2015年、株式会社Cygamesに入社しマンガアプリ『サイコミ』の立ち上げを手掛け、リニューアル後に退社。
現在、peepのエディター・コンテンツプロデューサーとして在籍。


━━最初はアニメの業界にいらっしゃったんですね。
アニメの制作進行をしていました。漫画でいうと編集者みたいなものなんですけど、作画や彩色や撮影をする人のところを回って、回収や素材の受け渡しをしたり、人から人や各セクションの橋渡しをするというものですね。本当は、絵を描いたり、ゲームとかのグラフィックの方に行こうと思ってたんですよ。だから、制作進行しながら何でも屋でやってました。例えば、動画の撮影や編集、なくなってしまった背景を描いたりとか…(笑)。ちょうど、アニメーションの制作現場がデジタルに移行してる時だったので、デジタルの技術とかそういった新しいものに触れられたのが楽しかったですね。

━━そこからマンガ業界へはどのように…?
結局のところ、アニメだとお給料が少ないんですよ。さすがにこのままではやばいと思っていたら、編集プロダクションの会社を紹介してもらったんです。時給もいいし、出版に興味があったので入社しました。最初は、営業バイトで入ったんですけど、社長に「田邊はゲームとかアニメとか詳しいから、ちょっと編集してみる?」って軽い感じで言われて、そこからゲームの画面を撮影して各写真にキャプションつけたりして、ゲームの本を作りました。次に、「マンガもやる?」って言われて漫画もやって…って感じで移行していったんです。

━━ 一迅社では、累計発行部数が300万部を超える『かんなぎ』という大ヒットマンガを生み出したそうですね!
はい。月刊漫画誌「ComicREX」創刊時からの連載作品なんですけど、僕は10巻分くらいまで担当しました。実は、創刊時にはそこまで期待されていた作品ではなかったんですよ。作家さんのことはすごく買ってたんですけど、創刊3号で初めてセンターカラーをもらったっていう作品です。

━━えっ…!そうだったんですね。
オリジナル作品をあまり描いたことがない作家さんで、連載は『かんなぎ』が初めての作品だったんですよ。それまでは、ゲームやアニメのアンソロジー作品を描いていた方なんですけど、そのあと一緒に読み切りのオリジナル作品を3回ほどやったんですね。僕は、その作家さんのことを売れるって思ってたので自信はあったんですけど、初回の読み切りの作品が読者投票でビリから2番目だったんですよ…。

━━そこからどのよう挽回されたのでしょうか?
その時に、「自分では作家さんを信用してるって言っているけど、それは作家さんと対等の関係ではなくて、作家さんに全て任せてしまっているな」って気付いたんです。任せきりっていうことは、編集者として作家さんのポテンシャルを引き出せてないということですし、作家さんに対して遠慮しているなって思いました。それを踏まえて、2つ目の読み切りの作品では、作家さんに「ご自身が抱えているコンプレックスを出してください」って話をしたんです。そしたら、今度は上から2番目になったんですよ。

━━すごい!!
作家さんと対等にお話をして、いい部分を引き出しつつ、作家さんの人生経験や想いを作品に投影できてるかどうかっていうところが大事なんだなって思いました。2位を取れたことで自信がついて、連載もやっていけるだろうって前向きに考えられました。

━━『かんなぎ』をヒットさせるために、工夫した点や戦略を教えてください。
連載が初めての作家さんは、初単行本がなるべく早い期間で売り切れたりしないと重版が決まりづらかったりするんですよ。なので、表紙のデザインとか帯の文言をキャッチーなものにして売りに出しました。やっぱり、アニメ化を狙ってましたね。最初の方は徐々伸びだったんですけど、アニメ化が発表されてからはもう毎月のように重版を重ねてたので、驚きましたね。

━━すごいんですね、アニメの影響力って。
そうですね。アニメ化する時も狙いがありました。監督を話題の人にしたりとか。これは叶わなかったんですけど、「オープニング・エンディング曲を、L'Arc〜en〜Cielでいきましょう!」ってダメ元で言ってみたり(笑)。ラルクの所属していたキューンミュージックさんも、「かんなぎ」の制作をしてくれていたアニプレックスさんも、ソニー・ミュージックエンタテインメントさんの傘下でしたから。当時『機動戦士ガンダム00』の主題歌を歌ってたので、万に一つの可能性に賭けて…。アニプレックスプロデューサーの岩上さんに話したら苦笑されましたが(笑)。まあ、個人的にラルク好きだったってのがあったんですけど。

━━えっ…、田邊さんラルク好きだったんですか?!(笑)
ええ。実は(笑)。

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━━前職ではマンガアプリの立ち上げをされたそうですね!
Cygamesへ行く動機になったのが、「新たにマンガアプリを立ち上げる」っていうマンガの業界の中でもやったことないことだったんですよ。それまでは、紙の媒体をデジタルで配信するといったことはあれど、新しくデジタルのアプリで雑誌を創刊するっていう形のことはやったことがなかったので、これはチャレンジしてみる価値はあるんじゃないかなって思ったのと、紙の本はどこかでデジタルに抜かれるだろうという漠然とした思いがあったんですね。

━━その通りでしたね…!
僕は、2020年にひっくり返るんじゃないかなと思ってたので、あと5年しかないと思って2015年にCygamesに行ったんですけど、結果2年後にひっくり返りました(笑) 。早かったです…!

━━taskeyを知ったきっかけを教えてください。

前職で一緒にマンガアプリを作っていた浜に「一緒にpeepを成長させていきたい」と声をかけてもらいました。そこから、代表取締役CEOの大石とお話をさせていただきました。

━━転職の一番の決め手っていうのはなんだったんでしょうか?
第一に、面白そうだっていうのはありました。新しいことをしてやろう、面白いことを生み出してやろうというのがすごく魅力的に映りました。大石の話すビジョンは、今作っているものよりはるかにスケールのでかいものなんですけど、これはもしかして可能なんじゃないかって思わされるものがありましたね。やっぱり大石のカリスマ的魅力はあったなと思いますね。

━━お話を聞いていると、田邊さんは新しいことが好きそうですもんね!
怖いんですよ。物作りの現場にいると、取り残されることが一番怖くて…。新しいやり方を知らないと、新しいクリエイターの考え方もわからないだろうと思ってるんですね。今のやり方が普通の事として育ってきた人たちに、僕が紙の話をしても響かないと思っているので「紙はこうだったけど、今はこうだよね」ってことを僕がちゃんと理解して、その差を話せるから学びにもなって面白いと思ってもらえるんじゃないかと思いますね。「peep」は音声や音楽や映像とかもうまく使えそうですし、小説だけではなく、漫画やゲーム的な要素もあって、いろんなことができそうだなと思ったので興味が湧きました。

━━「peep」編集者としてのやりがいを教えてください。
僕は、どちらかというと歳が上の方なので、なるべくみなさんのフォローをしようっていう意識はあります。物を作るにあたって、明確にこういうのを作りたいっていうのがあっても、作り方が分からないといった時に、今まで僕が培ってきたことや経験を話すことによって良いものが作れたらいいなって思いながらやっています。

━━田邊さんご自身の作品作りはいかがですか?
僕自身としても、欲としてヒット作を生み出したいっていうのはあるんですけど、みんなが売れてる作品を作ってる時「どうやって作っているんだろう」と思いながらまだやってます(笑)。作品を作る上で「面白い」ということと「クオリティを上げる」ということがあって、僕は「クオリティを上げる」という中に含まれる、誰に対しても分かりやすくとか校正をしっかりしようというのが強すぎちゃう自分が嫌だなと思ってますね。もっと欲求に素直にと考えると、ほかの編集者の方がうまくできてると思います。

━━現在課題に感じているところはありますか?
「peep」が展開していくにあたって、いろんなことができるとは思うんですけど、ここに対してどういった数字的なビジョンや売り上げを成り立たせていくのかっていうところを、僕もしっかりと考えなきゃいけないなって思っています。課題は、これだったらお金を使う価値があるっていう付加価値を作っていかなきゃいけないなっていうところですね。

━━田邊さんがお仕事をしていて一番楽しい時はいつですか?
編集者だったら誰もがあると思うんですけど、作家さんが自分の想像を超える面白いものを書いてきてくれた時ですね!やっぱり、編集者と作家さんは別のものなので、こちらの言ってることが100%伝わることはないと思いながらも、「この作品において読者が面白いと感じる部分」については双方の意識が同じものであるようにお話しています。作家さんに常にクリエイティブな状態でいてもらうために、アドバイスや指摘の仕方なども気を付けています。

━━現在、リモート勤務になっていかがですか?
作家さんとのコミュニケーションは、電話などでできています。ですが、新しい作家さんと仕事を始める時は、地方の方でも一回顔を合わせてからっていうことが多かったんですね。会える人は面と向かって会って、その人のパーソナリティを理解したり、自分の熱量を伝えられるので。やっぱり、電話だけだとなかなかそこが伝わりづらいですよね…。カメラ機能に助けられてます…!

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━━田邊さんイチオシの作品を教えてください。
難しいですねー!一押しの作品っていうよりかは、同じ編集者の浜と内山の作っている作品に注目してます。

━━(編集者ならではの回答だ…!)どうしてですか?
浜は「peep」のなかで恋愛を立ち上げて、今主流になりつつあるっていう道を示した編集者だと思います。内山は、自由に走っていい環境の中で、いろいろなことを考えて数字が出始めている段階だと思うんです。「これがなんで売れたんだろう」っていうものがまだ固まっていない部分で、すごく模索しているところなので、全く違うジャンルでも数字を出す可能性があるからです。作品単体でいうと、すごいと思うのは大石(Dr.peep)の『監禁区域レベルX』ですね。あれがなければ、やはり今「peep」はこうはなってなかったと思うので。連載で2年以上続けているというところにあの作品のすごさを感じます。

━━taskeyの好きなところはどこですか?
みんな若いところです!(笑)みんながエネルギーに溢れているところが好きですね。これは何よりだと思っていて、経験を積んでずっと同じようなジャンルをやっていると、エネルギーというよりは現実の方を見始めるんです…。このジャンルでにおいて、「peep」は正にトップランナーだと思うんですよ。なので、全く業界の常識にとらわれることもなく、自分たちで開拓しているっていうところがすごくエネルギーに溢れていて好きですね。

━━最後にtaskeyに興味がある人へのメッセージをお願いします
40を過ぎたおっさんがいうことではないですけど、taskeyに入ってると自分が若くなったような気がします!仕事をしているのに、エネルギーがもらえるというすごく面白い会社なので、興味がある人は是非体験してもらいたい!会社で働くということだけでなく、「taskeyで働くと面白い体験ができますよ」ということだけは伝えたいですね。

━━1日のスケジュール
10:00 - 11:00 出社[出勤時には小説を読んでます]
11:00 - 13:00 朝会、作家さんからの連絡確認・返信
13:00 - 14:00 ランチ
14:00 - 19:00 作家打ち合わせ、作品の内容確認
        [原稿確認、プロット確認、校正作業など]
19:00 - 21:00 帰宅[退勤時には漫画を読んでます]

田邊さん、ありがとうございました!

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チャット小説アプリ『peep』を運営している taskey株式会社の広報担当です。

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